2021年版 文学少年が選ぶおすすめの小説8選

私は小説が好きだ。読むことも,そして書くことも。だから多くの小説を読んできた。
そのなかで,私がおすすめしたいものを,8作品あげてみた。

なお,これらの小説は,私の創作にも影響をおよぼした。どれもたいへんすばらしい作品なので,ぜひ読んでいただきたい。

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一九八四年

著者:ジョージ・オーウェル
訳者:高橋和久
ISBN:978-4-15-120053-3

これは言わずもがな,名作である。私は約3年前,中学2年のときにこの作品を読んだ。監視社会というものに,ある意味でのおもしろさを感じたことを覚えている。

オセアニアという国の,真理省記録局に勤めるウィンストン・スミスという人が主人公である。オセアニアでは日記を書くと死刑か懲役になるが,その人は古物商からノートを買って日記を書き初めてしまう。

なお,この作品にはいくつかの和訳があるが,私は早川書房から出版されている高橋和久氏訳のものを勧めたい。

動物農場

著者:ジョージ・オーウェル
訳者:高畠文夫
ISBN:978-4-04-233401-9

これも,「一九八四年」と同じく,ジョージ・オーウェル氏の作品である。

荘園農場に暮らす動物たちは,貧困と農場主の圧政に苦しんでいた。豚のベンジャミンは,人間を追放すればこれらの苦しみから開放される,と説いた。
やがてベンジャミン亡きあと,偶然の幸運によって動物たちは革命を成し遂げる。平和で幸福な,動物主義社会のはじまりに思えた。しかし,革命の指導者のひとりであったスノーボールが追放されると,もうひとりの指導者であるナポレオンが権力を強めていく。

当時の社会主義革命を風刺したものと言われている。じっさいにソ連は崩壊し,中国や北朝鮮は独裁を強めている。

新世界より

著者:貴志祐介
ISBN(上):978-4-06-276853-5
ISBN(中):978-4-06-276854-2
ISBN(下):978-4-06-276855-9

のどかな田舎の情景からはじまる,壮大な物
語である。

舞台は,今から約千年後の未来である。人類は「呪力」と呼ばれる超能力を手にし,平和な社会を築いていた。
だが,主人公とその友人らは,偶然のできごとによって,隠された真実を知ることになる。

子魂の花

著者:秋村遊
ISBN:978-4-286-21341-5

著者は私と同じ,「N高等学校」の学生である。同じ学校だからという理由で推したわけではない。本当にすぐれた作品なのだ。

主人公は,中絶された子魂(子の魂)である。別の子魂と出会って,物語が進んでいく。

驚くべきことに,執筆当時は中学校三年生である。私が同じ学年のときに書いた小説と比べて,数十倍はよくできている。
人の感情をここまで深く描いた小説に,これまで出会ったことはない。

愛は憎しみを越えて

著者:高橋信次
ISBN:978-4-87928-117-3

強欲的な社長が病に倒れ,魂が抜け出して自らの過去を振り返ることになる。

この小説は,「社長=悪」という簡単な図式ではない。いかにみにくくよこしまな心を持った人であっても,そうなるだけの理由がある。強欲的な社長さんなど,まだましなほうである。

人はその生い立ちから,怒りや憎しみ,怠け,あるいは意地悪といった心を生み出す。それは人間たるもの,避けることはできない。

これを読めばいかなる悪人に対しても,焼いて殺しちゃいましょう,とは気軽に言えなくなる。

なお,幸福の科学総裁の大川隆法氏が同名の本を著しているが,ここで紹介したものとは異なることに留意願いたい。

お金のいらない国

著者:長島龍人
ISBN:978-4-902306-16-3

社会の理不尽さや,人間のよこしまな心は,「お金」という仕組みによって生み出され,あるいは強化されたのではないだろうか。そう問いかける物語である。
お金が存在せず,仕事は無償で行う。そういった社会を描いている。

閉鎖病棟

著者:帚木逢生
ISBN:978-4-10-12880-7

精神科医が書いた小説である。精神科の閉鎖病棟を描いている。
入院患者らは,世間から恐怖や侮蔑のまなざしを向けられる。しかし彼らの実際の姿は,恐れるべき怪物でも,さげすむべき人でもない。

閉鎖病棟に繰り広げられる日常が描かれる。もちろんフィクションだが,その元は精神科医が実務経験によって知り得たことであるから,ノンフィクションかと思ってしまう。

この小説は1997年に出版された。2021年という現在でも,精神疾患の患者に対する偏見や差別というものは,残っているのではないだろうか。
逆に,「差別はあってはならない」という言葉が一人歩きし,依然として差別があるにもかかわらずそれを見ないようにする現在の風潮のもとでは,はげしい批判にさらされたり,あるいは出版できないかもしれない。

野ブタ。をプロデュース

著者:白岩玄
ISBN:978-4-309-40927-6


人気者,現在の言葉でいえば「陽キャ」の主人公のクラスに,ある生徒がいじめから逃れるため(と推定される)編入してきた。
その人は編入先でもいじめに遭い,主人公に助けを求める。主人公はその人を「人気者」に仕立てようとする。

中高生の世界では,同級生からの承認がいわばお金の代わりである。そして政府や教員に代わって,みんなが権威となる。
現代の中高生が,どのような状況で学校生活を送っているかを,たくみに描いている。

SNSが発達した現代では,訴訟や報復を恐れて暴力によるいじめは少なくなってきているとは思う。しかしいじめはなくなるのではなく陰湿化するのだが,この小説は暴力と陰湿のどちらも描いている。