行動記録の手法 ―手書きか電子か?

ここで述べる行動記録とは,自分が何時から何時まで何をしたか,を記録することである。船の航海日誌や,コンピュータのログのようなものだ。

私は中学校3年生のときから行動記録をとっている。
いまこの記事を書いているのが,2021年5月10日の23時40分だ。ちょうど1年前の2020年5月10日23時40分,記録によれば私はインターネットで怪談を読んでいた。

なお,記録し忘れることはよくあるので,忘れるたびに落ち込む必要はない。

CoVID-19の感染拡大に伴い,”行った場所と会った人を記録すること” が推奨されている。これはCoVID-19にかかった場合に,誰から感染したか,そして誰に感染させたかを推測するために使用するという。これも行動記録の一形態ではあるものの,行動記録の利点はCoVID-19対策にとどまらない。

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手書き

メモ帳やシステム手帳などに,時刻と行動を手書きするという方法だ。私は現在,M5サイズのシステム手帳に手書きしている。行動の前後に時計を見て,時刻と内容を記入するのだ。

悪筆

この手法を使うにあたって最も障壁となるのは,おそらく悪筆だろう。否,私がかなりの悪筆であるため,そう感じるだけかもしれない。


この恐怖の怪文書は,きわめて解読が困難だ。古代の文書だろうか?あるいは秘密組織の暗号?
まさかこれが,ごく安全なたわいもない記述であるとは,誰が想像するだろうか。実のところ,その内容は下記の通りだ;

22:42 仮眠
23:15 ブログ

落ち着いて綴る日記とは違い,行動記録は慌てて書くことも多い。もともと悪筆な私が,慌てて ―ときには外出先で歩きながら― 行動を記録する。これがどういった結末になるかは想像に難くない ―そう,自分の記録が読めないのだ。
だが,この問題は略称,外国語あるいは記号を使用すれば,ある程度解決可能である。

時計を見る

手書きの場合,記録するたびに時計を見る必要がある。
これは,時刻を常に意識する必要がある ―これは利点である。
だが,時計の時刻が間違っていたり,あるいは読み間違えたりすれば記録が不正確になってしまう。

分析が困難

電子データのほうが分析が容易であることはいうまでもない。とりあえず悪筆は看過するとしても ―私の悪筆は決して看過できるものではないが―,時間と行動が時系列で並んでいるだけであり,グラフなどに表すことは困難である。

水中での記録

当然,紙は水に濡れると破けてしまい書けなくなる。

私はたいへん水遊びが好きである。
到着は水着に着替える前に記録すればよいとして,では水遊びをしているときに記録する必要が生じたら? ―防水紙を使うか,記録を諦めるしかない。

そして私は,浴室にスマートフォンや電子書籍リーダーを持ち込んで利用することも多い。その場合の記録は,

20:00フロ
読書
動画
20:30

のように書いている。だが入浴中の行動も詳細に記録したい人もいるかもしれない。やはり防水紙の出番となる。

行動記録を防水紙に

その場合,行動記録を水中以外でも防水紙に書くことになるだろう。水遊び後あるいは入浴後に転記するのも面倒だ。だが防水紙は普通の紙より高価である。そして合成樹脂を原料としているため環境への影響も懸念され,気軽に使えるものではない。

バックアップがない・散逸しやすい

手書きで記録した場合,紙を紛失すれば記録は消えてしまう。そして厳格に管理しないと,書き終えた用紙を失くしてしまいやすい。

機器が使えない状況でも記録できる

電子機器を使用できない状況 ―たとえば集中治療室や電波実験室,中高生であれば授業中など― に於いても,記録用紙と筆記具,そして時計さえあれば記録できてしまう。

電子

スマートフォンやコンピュータなどを使用して,アプリで行動を記録する。

機器の故障やソフトウエアの動作不良

機器が故障したり,ソフトウエアが正常に動作しない場合,行動記録をとることができない。

融通がきかない

ほとんどの行動記録ソフトは,”開始時刻” と “終了時刻”,そして “分類” を入力しなければ記録できない。また,記録ごとのメモ欄を設けていないソフトウエアもあり,その場合,追記したい事項を書くことができない。

長時間使用や依存など

行動を記録するために,常にスマートフォンやタブレット,コンピュータなどの電子機器を近くに置かなければならなくなる。少なくとも,それを正当化する理由にはなる ―政府による濃厚接触記録アプリであるCOCOAも同じことだが―。

そして,”デジタル・デトックス” などが困難になる。”ノー・メディア・デー((電子)媒体なし日)” などを設けようものなら,それは “ノー・レコーディング・デー(記録なし日)” にもなってしまうのだ。

消失と同期エラー

行動記録をクラウドサーバー上に保存する方式のソフトウエアを使用した場合,サーバーとの同期が正常に完了しないことがたまにある。スマートフォンとパソコン,といった複数の機器間で同期させている場合はそれが起こりやすい。まったく違う項目が記録されていた,とか,何時間も記録が空白となっていた,といったことは私も経験している。

思考の延長で記録できる

あえて時刻や行動内容を紙に書きつけることなく,クリックやタップを数回繰り返せば記録できてしまう。これはとても容易であり,もはや現代人にとって思考の延長としての操作であろう。ああ,記録しなきゃ。そう思ったら半ば勝手に手が動いて記録してくれる。

自動化が可能

知識さえあれば,記録をある程度自動化できる。たとえば,動画アプリを開いたら “動画視聴”,ゲームアプリを開いたら “ゲーム” の開始を記録し,アプリを閉じたら記録を終了する。また,GPSや基地局などの変化を検知すれば,外出と帰宅を記録できる。

私が通信制高校に転校する前,スマートフォンで外出を検知するだけでなく,時間や曜日などから,”通学” と “私用外出” を判別して記録するよう設定していた。平日の朝,スマートフォンを持って家を離れれば “通学” と記録されるのだ。

分析が容易

記録アプリを使用すれば,手書きと比べてかなり分析が容易である。”過去1週間の時間の使い方グラフ” とか, “合計時間が長い順に行動分類を並べる” といったことが数タップでできてしまう。

プライバシー

プライバシーの問題は電子的記録につきものだ。たとえば手書きでメモを取った場合,おそらくそれを直接見ない限りメモの内容を知ることはできないだろう。しかしテキストファイルでメモを取ってコンピュータに保存した場合,マルウエアが情報を盗むかもしれないし,操作を誤って全世界に公開してしまうかもしれないのだ。

そして,専用クラウドに保存する記録アプリの場合,運営元に見られてしまう可能性も否めない。心配なら運営元のプライバシーポリシーを確認しよう。

おすすめの記録媒体

ここでは,行動記録にあたって私が推奨する記録媒体について記す。

手書き

システム手帳(M5)

手書きで行動を記録するなら,M5サイズのシステム手帳が便利だ。胸ポケットにも入れることができ,リフィル構成によってはメモ帳や予定帳も兼ねる。私は,”プロッター” というシステム手帳を使用しており,メモ帳およびToDoリストを兼ねている。

“プロッター” はリング径が小さく,持ち歩きやすい。記録が溜まったら保存バインダーなどに移したり,製本すればよい。

メモ帳

システム手帳は高価であるし,リフィル単位の管理が面倒でもある。それがいやに感じるのであれば,普通のメモ帳で記録するという方法もある。
メモ帳は安いものだと,100円にも満たないのである。
さまざまなメモ帳が売られているが,普段メモに使っているメモ帳が,必ずしも行動記録にも適切であるとは限らない。

電子

aTimeLogger

私が使用したことのある行動記録アプリのなかでは,最も便利である。
Web
Android
iOS
なお,私はAndroidおよびWeb版しか使用したことがないため,この記事がiOS版にはあてはまらない可能性がある。

多機能

複数の行動を同時に記録できるうえ,CSV形式でのエクスポートや,有料版を買えばさまざまなグラフを表示することも可能である。
行動分類を入れ子にすること(たとえば,”勉強-必修授業-国語総合”)にも対応し,メモ欄も搭載している。

クラウド保存機能

また,このアプリはクラウドに行動記録を保存することができる。そしてWebからアクセスすることによって記録できるのである。

中国またはベラルーシ製

Web画面などを確認したところ,このアプリは中国またはベラルーシ製である可能性が高い。Webサーバーもおそらく両国のいずれかにあるのだろう。

現在,米中対立が深刻化している。日本は米国の同盟国であるから,米国の対立相手国に自分の情報を置くというのは,政治的に不穏かもしれない。
私は,”なんとなく気持ち悪い” とか,あるいは “反日国だから” といいたいわけではない ―中国製の電子機器やアプリには,すぐれた製品もかなり多いのだ―。 同盟国の対立相手国であるから,不穏なのではないかと述べただけである。
一般人なら問題ないかもしれないが,政治家や著述家などは,対立相手国に情報が渡ってしまうのは避けるべきではないだろうか。

そしてもベラルーシもまた,政治情勢が不穏である。いずれにせよ軍や警察などが,”日本に住んでいる◯◯というやつの行動記録を開示せよ” などと命令したならば,応じざるを得ないだろう。それがどのように使われるのかはわからない。政治家でもない限り暗殺されることはなさそうだが,使用にあたっては慎重になるべきなのではないだろうか。

Toggl Track

これもまたすぐれた行動記録アプリである。だがその利便性は,”aTimeLogger” には及ばない。
Web
コンピュータ用クライアントのダウンロード
Android
iOS

デスクトップアプリ

公式クライアントは,WindowsやMacOSのみならず,Linuxにも対応している。むろんAndroidやiOSもしかりである。
むろん,HaiKuやBSDなどの,利用者が少ないOSを利用している場合でも,Webブラウザが対応していれば,Webから利用できる。

日本語非対応

これはaTimeLoggerとは異なり,日本語に対応していない。すべて英語で表示される。

深い入れ子ができない

“Project” と呼ばれる行動分類の他に,短いメモのようなものをつけられる。それが下位分類となる。たとえば,“勉強” というProject,”国語総合” というメモ,といった記録ができる。そして次回からは,記録欄に “国語総合” と入力したら,”勉強 国語総合” が表示されるようになる。

だが,これは詳細な記録には向かない。”勉強 国語総合 1ページから10ページまで 静かな環境なので集中できた” とか,”人間関係 ◯◯氏と電話 文房具について話した” といった記録ができないこともない。しかし,”勉強” の下位分類に “国語総合 1ページから10ページまで 静かな環境なので集中できた”, “人間関係” の下位分類に “◯◯氏と電話 文房具について話した” が追加されてしまうことになる。これは詳細な分析にあたって不利である。

記録が公開されてしまいかねない

Projectの設定を,”Private Project” にしないと,そのProjectに係る記録が公開されてしまうかもしれない。”Toggl Track” はチーム向けの記録アプリなので,公開機能などというものが搭載されているのだ。

エストニア製

調べたところ,このアプリはIT大国であるエストニアに本社を置く会社が開発しているらしい。いまのところエストニアには政治的に不穏なきざしは見えないが,今後の動向に注意すべきだろう。