笠井闘志 個人ウェブサイト

【緊急】GPG鍵を失効させ,新たな鍵を生成しました。トップページから,新たな鍵と,失効証明書を取得ねがいます。


留意: toeushimwk.workにアクセスしています。
このドメインはまもなくアクセスできなくなります。ブックマーク(お気に入り)に登録していただいている場合,
kasaitoushi.nagano.jpに変更していただきたく存じます。

HTTP(旧来の,暗号化なしの方式)によって接続されています。このウェブサイトは,非対応機器や通信環境などに配慮してHTTP接続も受け付けていますが,セキュリティおよびプライバシーの関係上,可能なかぎりHTTPSで接続ねがいます。


ブログ

オンラインサービスはタダじゃない──なぜ「無料」なのか,そして,どのような経済を構築すべきか

2022-07-21

いまや,ほとんどのオンラインサービスが無料で使える。検索,メール,メッセージ,SNS,動画投稿,そのほかあらゆるものが,カネを一銭も払うことなく利用できる。しかし,カネ以外で対価を払っていることをご存知だろうか。

構築・維持は重労働

オンラインサービスを構築して維持することは,けっしてラクな作業ではない。サーバー(サービスを提供するための機器)の維持管理は,とんでもなく高度な技術的知識を必要とする。サービス提供者の法的保護には,優秀な法務担当者が必要だ。そして,たくさんの利用者をかかえるサービスは,それだけ機器の維持管理がたいへんになるし,法的なトラブルに巻き込まれる危険性も高まる。そんなウェブサービスを無料で使えるというのは,「無料でホテルに泊まれる」とか,「無料で飛行機に乗れる」というのと同じことだ。では,その運営費用は,どこから出ているのだろうか?

そして,GoogleやAmazonが提供する有料サービスも,ほかの会社が提供するものと比べて,おどろくほど安い。この差額は,どこから生じるのだろうか?

自由と尊厳をお支払い

じつは,無料または格安のオンラインサービスを利用することは,遠回りにではあるが,自由と尊厳,そして人類の未来を売り渡していることになる。これはどういった仕組みなのか,説明していこう。

まず,GAFAなどの大手オンラインサービスの多くは,広告収入で運営費をまかなっている。つまり,広告主に利用者を売っているのだ。そして,無料で利用者をひきつけ,これらのオンラインサービスに一極集中が生じる。

こうなると,オンラインサービス提供者が強い力を持つようになる。広告収入に悪影響となる利用者や情報を,みずからのサービスから排斥する。これはサービス提供者の正当な権限の範疇なので,問題ではない。問題なのは,乗り換え先がないことだ。

たとえば,Twitterアカウントを凍結されてしまったとして,自分のつぶやきをどこで公開すればいい? Mastodonも含め,ほかのつぶやき投稿システム・サービスは,Twitterほどの拡散力や影響力を持っていない。たとえ乗り換えても,以前のような影響力は戻ってこない。

LINEも同じだ。もしLINEアカウントを凍結されたあと,どうやって家族や友人と連絡をとる? SMSはカネがかかるし,[Matrix]Signalは普及しておらず,頼んでも導入してくれないかもしれない。

だから,われわれはこういったサービスから追放されないように,言動に気を遣うようになる。一見,これはいいことのように思えるかもしれない。暴言や差別,中傷などをしなくなるはずだからだ。しかし実際は違う。サービス提供者や広告主にとって都合の悪い言動をしなくなる,ということだ。

そしてもうひとつ。投稿がどのように表示されるか,メッセージがどのように送信されるかは,サービス提供者がコントロールしている。お客様は広告主,商品は利用者。こうなると,利用者に特定の価値観を押し付けることも,理論上可能である。こうして,大手オンラインサービス企業が支配するディストピアができあがる。

自由ソフトウェアとフェディバースの経済へ

インターネットにおける経済活動の主軸を,広告からホスティングサービスへと移すべきだと私は思う。

ホスティングサービス。かつてインターネット接続業者がやっていた「メールサービス」や「ホームページサービス」のようなものだ。もちろん,VPSなども含まれる。現代だと,MastodonやDiaspora*などのフェディバースも含めることになる。

いたるところにホスティング事業者があり,手続きをして料金を払えば,VPSやフェディバースが使える。もちろんサーバーの位置も分散されていて,小さな事務所や倉庫にまで貸出用のサーバーがある。サーバー上で動くソフトウェアは自由なものなので,権利者の許可なくホスティング事業をはじめられる──

こうやってサーバーが身近なものになると,われわれはインターネットを取り戻すことができる。ほんとうの意味で,インターネットが身近なものになるのだ。

私たちができること──自由ソフトウェア・フェディバースと国内サービスへ移行しよう

では,いま私たちは,何ができるだろうか?

まず,GAFAをはじめとしたビッグテックの利用を最小限にすること。Twitterも望ましくない。そして,ActivityPubを採用したMastodonなどの分散SNSに乗り換えよう。動画はニコニコ動画などの国内サービスか,PeerTubeに投稿しよう。ニコニコ動画はプレミアム会員という制度があり,高画質で見られるなどの特典がある。こうやって視聴者から対価を得る仕組みならば,安心して使える。

ウェブサイトは,HTMLやCSS,PHPなどで書くか,自由ソフトウェアのCMSで製作し,ホスティングサービスか自宅サーバーで公開しよう(最近の接続業者は,ホームページサービスを提供してくれないことが多い)。サイト製作は意外と奥が深くて楽しいし,簡単なサイトならすぐに使える。HTMLはプログラミングというより組版なので,そこまで難しく考えることはない。

いつも思うのだが,学校にも理科室やパソコン室と同じように「サーバー室」を置いて,学校事務や生徒会活動のほか,さまざまな教育活動でも活用すればいいのではないか。たとえば,中学校にMastodonサーバーを置いて,SNS入門として使わせるのはどうか。え? 中学生の投稿がフェディバースにダダ漏れだって? 大丈夫。ソースコードをいじって,学校外に投稿が流れないようにすれば済む。

自由ソフトウェアは,とてつもない可能性に満ちている。まだ到来していない,来たるべき時代をつくりあげる可能性に。


免責事項

記事内容を実行し,またはまねた結果については,一切責任を負うことができません。

著作権情報

著作権者:笠井闘志

特記なきかぎり,このウェブページの利用を,クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスにもとづいて許諾する。