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ブログ

なぜ資本主義は残酷な社会をつくりだすのか

2022-06-08

いまのこの社会が残酷であることに,だれも異論をとなえることはあるまい。もちろん,ほかの時代,ほかの社会はもっと残酷なのかもしれないが,自分たちの社会の残酷さを看過する理由にはならない。

その残酷さは,カネの流れ,すなわち資本主義経済から来ている。

大手IT企業がプライバシーを侵害し人々の活動を制約するのも,作家がひわいな本を書かざるを得ないのも,ゲーム事業者がプレイヤーを依存症にするのも,すべてカネをもうけるためである。そして,非営利事業といえどもカネをもうけることができなければ衰退し,そして衰退をふせぐためには改悪せざるをえない。

いまの社会では,カネがなければ生きてゆくことさえできない。カネを持っていなければ,カネを稼ぐまえに飢え死にしてしまうかもしれない。こんな社会なのも,資本主義が悪いのだろうか?

資本主義の前提が崩壊

じつは,資本主義そのものは,想定どおりに運用されている限り,豊かさをもたらすシステムだ。

現実は「姑息な手段でカネもうけ」だが,理想は「自由な経済活動で,みんなが豊かに」である。

だれもがみずからの豊かさを追い求めたとしても,みなが豊かになる。資本主義はそれを理想としているし,いまでも多くの人がそれを信じている。このシステムのなかで豊かになれなかったとしたら,それは自身の責任だ──想定どおりに運用されているかぎり

もうおわかりだろう。資本主義は想定どおりに運用されていない。だから,世のなかは想定に反して,ここまで残酷になってしまったのだ。

みんながバカになれば,じゃんじゃんもうかる

「だれもがみずからの豊かさを追い求めたとしても」とさきに私は述べた。資本主義が前提としている条件は,「人はみずからを豊かにする(と信じる)商品やサービスに対価を払う」ということだ。

「だれもが,みずからを豊かにする(と信じる)商品やサービスに対価を払う」かぎり,資本主義は社会を豊かにする。しかし,じつのところ,人はそこまで合理的でもなければ,天才でもない。

むしろ,愚かな人が増えれば,ずる賢い人にとってはカネをもうけやすくなる。ほんとうに自分を豊かにするものなのかを考えず,宣伝文句だけを見て買うようになれば,わざわざ人を豊かにする商品をつくらなくてすむ。

依存症と性の支配

もっとおそろしいのは,理性にまさる衝動に支配されること,すなわち依存症だ。

パチンコやオンラインゲーム,糖などの依存性のあるものは,カネのなる木である。みずからを豊かにしないとわかっているのに,買わずにはいられないからだ。どれだけ頭がよくても,依存症になるときはなる。そして,この依存症というものは,資本主義に空いた大きなセキュリティホールなのだ。

自由な経済活動の前提すらも踏みにじり,他人に豊かさをもたらさず,みんなをバカか依存症にしてカネをもうける。これが,資本主義の現実である。

そして,忘れてはならないのはについて。性といっても文法上の性ではなく,セックスのほうの性だ。

性本能とは,いわずもがなきわめて強力な本能だ。そこを突けば,支配をうばいとれるかもしれない──というクラッカーのような発想なのだろう。あらゆる商品が,性本能に訴えかけることによって売られている。これはポルノや性的サービス,性具にかぎらない。「この商品を買ったらもっとセクシーになれる」といったアピールがみられるし,大衆向け雑誌やライトノベルの表紙も,想定される読者の異性(異性愛が多数派なので)をきわめて性的にえがいたものが多い。

動物農場

経済,理性,そして性本能。いまやあらゆるものがクラックされ,乗っ取られ,悪用されている。

これはまさに,ジョージ・オーウェル氏の小説『動物農場』を想起させる。暴虐を働く人間を追放した動物たちのまえには,楽園が広がっているはずだった。しかし,動物たちのあいだでは,もとのような暴虐がくりひろげられる──当時の共産主義を風刺した物語だが,資本主義にもおそろしいくらいあてはまるところがある。

資本主義そのものに欠陥があるというよりは,どのようなシステムであれかならず穴はあり,そこを突かれればディストピアがつくられてしまう,といったほうがいいかもしれない。


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